運命を知らない占い師

「では、顔をこちらへ近付けて」


優介は言われた通りにする。


「そのままじっとして」


占い師は優介の額に人差し指を当てる。


「そして私の目を見て」


なるほど、確かにベールが透けて占い師の目が見えた。


綺麗な目だと思った。


ベールと同じく紫色の綺麗な目。


意外と顔も幼いように見える。


「余計な事は考えないで」


「は、はい」


後ろでくすくすと笑う友人の声が聞こえた。
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