運命を知らない占い師

見ると、姉の薫子が勝手に部屋に入ってきていた。


「こんな時間に誰に書くのです?もしかして恋人?え?優介さんに恋人?お姉さんは許しませんよ。お姉さんに内緒で恋文を書くだなんて。お相手の事もお姉さん知らないのに」


ペラペラとお説教を始める薫子に優介は重い口を開いた。


「遺書を、書こうと思うんだ」


「い、遺書?」


驚いた後、ケラケラと笑い出した。


「優介さんたら遺書だなんて、いったい読まれるのは何十年後になるんでしょうねぇ。あはははは!」
< 19 / 64 >

この作品をシェア

pagetop