運命を知らない占い師
見ると、姉の薫子が勝手に部屋に入ってきていた。
「こんな時間に誰に書くのです?もしかして恋人?え?優介さんに恋人?お姉さんは許しませんよ。お姉さんに内緒で恋文を書くだなんて。お相手の事もお姉さん知らないのに」
ペラペラとお説教を始める薫子に優介は重い口を開いた。
「遺書を、書こうと思うんだ」
「い、遺書?」
驚いた後、ケラケラと笑い出した。
「優介さんたら遺書だなんて、いったい読まれるのは何十年後になるんでしょうねぇ。あはははは!」