運命を知らない占い師
「分かった。では、顔をこちらへ近付けて」
この間のように占いが始まる。
「私の目を見て」
静かな世界が広がる。
新田からも酔っているはずなのに緊張が伝わってくる。
「見えたぞ。貴方の未来」
占い師はそう言って前のめりになっていた身体を椅子へ戻した。
「総理大臣にはならんようだ」
「何だと?」
「それどころか、数年の後に貴方の家はお取り壊しになるようだ」
「なっ!嘘を言うな!」
新田が声を荒らげる。