one life
今日から授業だよ……
今日はいよいよ新学年になって初めての授業。

新品のテキストを塾のカバンに入れるとずしりと重たい。

「よいしょっと…。」

両肩にかかる重みが今までとは違うという実感と緊張感を嫌でも感じさせる。

「望美ー?真優ー?用意できた?もう行くわよー!」

「「はーい!」」

望美は2つ下の妹で私と同じようにここの塾に通っているが、今年で小3なのでスーパーコースの校舎で授業を受けるのは今日が初めてだ。

とはいえ、今までのテストはスーパーコースの校舎で受けたりしていたので雰囲気は知っている。

いつもママが私を最寄り駅まで送ってくれる。

いつもはそこから夏希と2人で行くが今日からは望美も一緒だ。

でも、小5の私達と小3の望美は頻度も終わる時間も違うので望美の授業がある月曜日と木曜日だけ一緒だ。

ちなみに、私達は月曜日、火曜日、木曜日、土曜日で、日曜日は特別講座。

空いてる水曜日は学校のバドミントン部の活動日で金曜日は英会話スクールがあるので一週間空いている日はない。

バドミントン部だって本当は週2回、月曜日と水曜日なのに月曜日は毎週お休みさせてもらっている。

「真優〜!お待たせ!電車乗ろ!」

名前を呼ばれた方を振り返ってみると夏希が手を振りながら走ってきた。

「夏希!そうだね!行こ!望美も行くよ〜。」

「うん!」

電車に乗り込むと案の定夏希が望美に話しかけ始めた。

「こんにちは、望美ちゃん。西野 夏希です。よろしくね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

「真優〜。望美ちゃんめっちゃ可愛いじゃん!いじめちゃダメだよ!」

「そうだよ。お姉ちゃんすぐ、パシろうとしてくるんだから。」

「ちょ、望美!余計なこと言わなくていいの。」

「望美ちゃん、今度からお姉ちゃんにイジメられたら私に言うんだよ?」

「夏希さん、ありがとうございます。」

「夏希ちゃんでいいよ。あと、タメで。」

「はい!」

2人とも私一人を悪者みたいに……。

でも、人見知りが激しい望美があんなに明るく初対面の人と話すなんてめずらしいな。

やっぱ、夏希ってこういうとこがあるんだよなぁ…。

明るくてしっかりしてて相手の気持ちをちゃんと分かってて立場を守るしプライバシーに踏み込みすぎない。

さらに話題を沢山出してくれてこっちが話題探しをしたり気まずい沈黙になったりしないんだ。

だから人見知りの人だったり初対面の人でも夏希となら自然と話せる。

いつも空気を読めずに学校でも女友達に嫌われてる私としてはすごく憧れるよ。

「じゃぁ、望美ちゃん、初のスーパーコースの授業頑張ってね!」

「夏希ちゃん、ありがとう!お姉ちゃんもまた明日ね!おやすみ!」

「望美3年生になったのにまだそんな早く寝るの?私が帰るまで待ってればいいのに。」

「いいでしょ、眠いんだもん。」

「スーパーコースだから宿題多くなるよー?」

「大丈夫だってば!行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」
< 5 / 6 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop