熱愛系エリートに捕まりました
でも、そんな可愛い女の子が、無表情で棘のある視線をわたしに向けている。

それだけで、彼女が薬師丸さんに好意を向けているのは明らかだった。


「俺はまたコンビニだよ。でも今日はカツサンドがゲットできたからラッキーだった」

「そう…ですか。よかったですね」


彼は手に持っていたコンビニのロゴが入ったレジ袋を持ち上げてみせる。

反射的に視線がそちらに動いて、なんとか笑顔を取り繕った。

そのとき、わたしたちが待っているのとは別のエレベーターのドアが開く。


「蒼士さんっ。ほら、わたしたちのエレベーターが来ましたよ!乗りましょ?」

「…あぁ。じゃあ瞳子、また今度ね?」


すると、女の子が途端に笑顔になってこちらに歩み寄ってきた。

鼻にかかった感じの甘い声音。彼女にはその声すらよく似合っていた。
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