熱愛系エリートに捕まりました
「ねぇ瞳子、クリスマスは両方空けておいてね」

「へ…?」


固まって、大人しくされるがままになっているのが精一杯だったわたしの耳元で囁く。

かかる吐息にゾクゾクしてしまって、何を言われたのかすぐには理解できなかった。


「あ、はい…」


そういえば、今年のクリスマスは24日が土曜日で25日が日曜日なんだった。


そっか、クリスマスも会えるんだ。

そう思って気分が高揚したのは束の間で、すぐに萎んでいく。


…それって、クリスマスだからじゃなくて、いつもの週末と同じ扱いなんだろうか。

それとも、そういうイベントを楽しむための遊び相手なのかしら。


クリスマスを好きな人と過ごせるのに、わたしはとても素直には喜べなかった。
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