熱愛系エリートに捕まりました
寂しい。でもそんなこと言えない。

こういう感情こそ、きっと薬師丸さんには重くて面倒なんだろうから。

だから、今週は会えないというメッセージに対して、「体に気をつけてくださいね」なんて無難なことしか言えなかった。


次の週末がクリスマスだ。そして、それが終わればすぐに年越し。


…来年もこんな不毛なことを続けるの?

自分に問いかけてみても、答えは出せず、ただ気持ちが沈むだけだった。


─────・・・


それから数日後。

定時を過ぎてはいるけど、早めに上がれた水曜日のこと。

エレベーターでエントランスに下りて、ゲートを出た先で、思わぬ人物に捕まった。


「あの、ちょっといいですか」
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