熱愛系エリートに捕まりました
かけられた声にパッと振り向くと、ゲートの横で待っていたらしいその人が近づいてきた。


茶色のボブとお人形みたいな可愛い顔立ちには覚えがある。

先日、このエレベーターホールで遭遇した薬師丸さんと一緒にいた女の子だ。


「…何の御用でしょうか」


どう考えても穏やかじゃないけど、お互い見つめ合って立ち止まったこの状況で、シカトすることもできない。

内心では緊張しながらも、仕事用のかしこまった空気を纏って対応した。


「初めまして。メイリー&カンパニーで事務員をしている、伊集院 楓です」

「…初めまして。B.C.Building Inc.社員の岩隈 瞳子です」


童顔なのに、その瞳は剣呑で挑発的。

もしわたしが好戦的だったら、火花散る場面だろう。
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