熱愛系エリートに捕まりました
「そもそも、あなたみたいなパッとしない普通のOLじゃ蒼士さんに釣り合わないですし。彼の本命に相応しいのはわたしです」


本命に相応しい、って。そんな日本語初めて聞いたわよ。

そのとんでもなく傲慢な主張にはカチンと来たけど、ここで言い返したら相手と同じ土俵に上がることになってしまう。

募る苛立ちを抑え、深呼吸した。


「お話はそれだけでしょうか?」


ひた、と相手を見据え、端的に返す。


まだまだ人の往来がある時間。

いつまでもエントランスの真ん中、しかもゲートの正面に陣取っているわけにもいかない。

だからって場所を変えて話し合うようなことでもないし、さっさと切り上げたかった。


わたしの反応が思っていたものと違ったのか、彼女はそれまで余裕を浮かべてニヤついていた顔をムッと顰めた。
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