熱愛系エリートに捕まりました
不機嫌そうに響くヒールの音を聞きながら、その場に佇んで彼女の背中を見送った。


なかなか強烈な子だったわ…

非常識で、自分に自信がある故の身勝手さ。あんな子が本当にいるのね。


でも、そんな彼女にどこかで一歩気後れした自分がいた。

彼女はそれだけまっすぐに薬師丸さんが好きで、恋に盲目になっているとも考えられる。


わたしは周辺事情ばかり考えて、彼が好きだという気持ちにどうにか折り合いをつけようとしているのに。

彼女は、わたしよりよっぽど潔い。


…もう限界なのかもしれない。

それなら、クリスマスは区切りにするにはいい機会だ。


最後にとびきり素敵な思い出を作って、彼とのことは、もう終わりにしよう。

そう心に決め、わたしもやっと家路に着いた。
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