熱愛系エリートに捕まりました
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すぅ、と穏やかな寝息を立てて、カウンターに伏せった姿勢のまま眠ってしまった彼女。

無意識のうちに左手を伸ばし、重力に従って顔にかかった前髪を払っていた。

毛先の方に緩いパーマがかかった茶髪は、サラサラで柔らかくて手触りがよく、もっと触っていたくなる。


顔立ちは可愛いと綺麗の中間で、笑うと可愛らしいのに横顔は美しさを秘めていたり、表情によって印象が変わる。

それをメイクで大人っぽく見せているが、寝顔はあどけない。

さっきの話を聞く限り、本人は大人の女性というものに憧れを抱いているらしいから、メイクはそういう風に意識しているんだろう。


「…タクシー、二台呼びましょうか?」

「いえ、一台で結構です」


マスターの探るような申し出をきっぱり断る。
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