熱愛系エリートに捕まりました
2年ほど前、楓が短大の1年生のとき。

妹の椿が、父の関係で招待されて自分も参加していたパーティーで、アメリカの実業家の息子に一目惚れされて縁談が持ち上がった。


椿は、可愛い顔の楓と比べると綺麗な顔であり、落ち着いた内面も相俟って大人びている。

というのも、高飛車で愚かな姉を反面教師として育ったため、計算高く強かな性格になったのだ。

彼女もまた自分の容貌を自覚していたが、それが全てじゃないことも同時に理解していたため、教養もきちんと身につけていた。


椿も決して根っからの善良な性格ではないが、しがらみの多い世界ではそれくらいの狡猾さがあってちょうどいいという見方もできる程度のものだった。

彼女を見初めた18歳の実業家子息も、当時弱冠15歳であった彼女をミステリアスな和風美女と捉え、心を奪われたのだった。


しかし、楓から見た椿はそうではなかった。


いつも澄ましていていけ好かないし、なんか老けてるし、全然可愛くない。
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