熱愛系エリートに捕まりました
「さっきの話の続きだけど」

「へ?」


さっきの…っていつの、どの話?

そう思うくらいには彼と会話を重ねていることに気づいて、ちょっとびっくりした。


「瞳子とのことをなかったことにはしないし、これで終わりにするつもりもないから」


そう言い放った薬師丸さんの瞳の奥には炎が揺らめいている気がして、背筋にゾクッとした震えが走った。

見えない何かに囲われて、繋がれたような錯覚に陥る。


それは恐怖とか、そういう嫌な感覚ではないのだけど…

心臓を鷲掴みにされたような、なんとも言えない不思議な心地。


「終わりにするつもりはないって…どういうことですか?」


気を取り直し、首を傾げて聞き返した。
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