熱愛系エリートに捕まりました
その言い方はズルい。

だって、ノーと言いづらいじゃない。


誰にでもそういうこと言ってるんだろうなって、常套句なんだろうなって思うのに。

一瞬もブレずに熱く見つめられながらそんな台詞を言われたら、どうしてもときめいてしまうのが女心だ。


さっき、ホテルの部屋で頬に触れられたときと同じ。

まるで心から求められているみたいに感じさせる、抗えずに吸い込まれそうになる瞳。


一緒にいる間は、彼のその瞳に映るのはわたしだけ。

その眼差しを独り占めして甘く微笑んでもらえるなら、遊びでもいいかも、なんて。


だから、気づいたときにはすでに頬が熱くて、頷いてしまった後だった。
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