熱愛系エリートに捕まりました
「そう言ってもらえると嬉しいよ。俺あんまりファッションに自信ないから」

「そうなんですか?」


口元を緩めて言いながら、シフトレバーを操作して車を発進させる。

わたしはその言葉に驚いて、思わず振り向いてまじまじと見つめてしまった。


「もとから大してこだわりがないっていうのもあるんだけど、流行にも疎くて」

「そんな風には見えないです!今日のも決まってますし」

「ありがとう。でも、いつも無難なものばかり選んでるから変わり映えしないんだよ」


いい車に乗ってて、カジュアルだけど落ち着いた大人の男って感じのコーディネートを着こなしていて。

でも、そう言って苦笑いする表情は、謙遜じゃなく本心に見える。


そういえば29歳って言ってたっけ…わたしと4つしか違わないんだ。
< 65 / 217 >

この作品をシェア

pagetop