夢恋から抜け出したなら
「さゆ、ちょっとはよ着替えて」
いつの間にか準備万端であたしの後ろで仁王立ちしてる梨花がプリプリしながら説教してくる。
「さゆ動きが鈍い。はよせえ。はよっ!」
「もう梨花もうちょっとあたしに優しくして。てか、18時まであと5分あるし」
「いや、そうゆうとこ!」
「は?」
「そうゆうとこやわ、さゆが彼氏おらんの」
「いやいや待って。どうゆう意味?」
「さゆって普通にしてたらモテるのに時間にはだらしないわ、おまけにいつもブスーっとしてるから話しかけにくいねんて、男も絶対」
梨花のいつもの説教がまた始まりそうだったからはいはい〜〜と軽く受け流して、全身鏡の前で軽くリップを塗るとバイト用、適当身だしなみの完成だ。
うっし!と気合いを入れてドアを開けて待ってくれている梨花のところへ駆け足で向かった。