マジカル・リリック~魔法学園の危機!?~
俺は別に魔法が使えない落ち零れだったわけじゃない。
”魔法を使わない落ち零れ”なんだ。

この学園は、中等部と高等部で成り立っている。
俺は中等部から此処に在籍している。
まぁ何でそうなったのかを話すと長くなるけど。

この学園に入った時、俺の力はまだ安定していなかった。
簡単な初級魔法を使ったり、魔法文字を読んだりするだけで大災害を引き起こしかねなかった。
酷い時には周りで魔法が唱えられるだけで暴走しかけたので、やむを得ず落ち零れやサボり魔になったわけだ。

高等部に上ってからは魔法が制御できるようになったが、俺の光は他の人と違い、白かった。
授業をサボって図書館で調べたり、教科書を読んでいると、自分が白魔法使いだということがわかった。


あの時は不思議とすんなり受け入れたよなぁ。


『妥当な処分ですね。わかりました、その処分受けます。』


そして今回もかなり普通に受け入れた。


人(厳密に言うと魔法使い)は、自分より強い力を持つものには従うか避けるかの選択を取る。

この学園には思い入れもないし、丁度いいかもしれない。


「では、寮のほうに帰って仕度をしなさい。」


この学園は全寮制だ。
何しろ山の中に建っているし、街に降りるには侵入者防止のトラップを抜けないといけない。
そんなこと、学生には無理だ。

俺は無言で肯定を返し、寮のほうに足を向けた。




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