独り占めしてもいいですか…?【完】
空き教室へ入ると、妙に緊張し始めた。





話したこともない先輩と空き教室に二人。





緊張しないほうがおかしいよね、うんうん。





何とか落ち着こうと軽く深呼吸をしてから口を開いた。





「それでお話っていうのは…」


「あっそうそう。はいこれ」





そう言って辻先輩に渡されたのは、私の生徒手帳だった。





「あっこれ!夏休み前に無くして、ずっと探してたんです!」


「そうだったんだ。これ拾ったはいいけど、夏休み入って渡せなかったから、よかった」





辻先輩は人懐っこそうな笑顔を浮かべていた。





「辻先輩!ありがとうございますっ」





私は嬉しさに笑みを零していた。





見つかってよかった!

ほんとに無くしたと思ってたから…

ちゃんと無くさないようにしないとね。





「いえいえ。生徒手帳の落とし主が、美生ちゃんみたいな可愛い子で俺もラッキーだったよ」
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