独り占めしてもいいですか…?【完】
「いや、でも一応先輩ですし…」


「だーめ!敬語は禁止ね?」





先輩に一歩詰め寄られ、上から見下ろされた。





私は見上げる姿勢で仕方なく、はいと口を開いた。





辻先輩、気さくで話しやすそうだけど、いまいち何考えてるか分かんないなぁ。


…って、今知り合ったばかりだからそうだよね。





「それと俺のこと呼び捨てでいいから」


「えっ!呼び捨て!?」





それってつまり…三春って呼ぶってこと!?


それは恥ずかしいというか、先輩を慣れ慣れしく呼び捨てにすることなんて出来ないよっ





ただでさえ私、千景以外の男の子の名前を呼び捨てで呼んだことなんてないのに~…





流石にそれは私にはハードルが高すぎるため、首を全力で横に振った。





「その、いきなり呼び捨てっていうのも難しいから、三春くん…って呼んでもいいかな?」





なんとか敬語を使わないよう意識しすぎたせいか、喋りが少しカタコトになってしまった。
< 132 / 294 >

この作品をシェア

pagetop