独り占めしてもいいですか…?【完】
「そんなっいいよ全然…!私なら大丈夫、だから」





そう言って千景に心配かけないよう、作り笑いをしてみせた。





しかし、そんな嘘はすぐに見破られて…





「馬鹿。無理しなくていいから」





そう言って千景は震える私の体を、優しく抱きしめたのだった。





「ち、千景…っ」





突然の行動に自分の体温が急上昇していくのが分かる。





心臓がドキドキと脈を打ち、顔中に熱が集まりだしてきた。





なっ、なんで私のこと抱きしめてくれてるの…?


千景…どうして?





私の後頭部に添えられた千景の大きな手が居心地よくて、私は千景の温かさに包まれていた。





恥ずかしくて今すぐ離れたくて…


でも、この温もりから離れるのは嫌で。





このまま時が止まればいいのに…っ


…夢みたいだよ。





そんなことを思っていた。
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