独り占めしてもいいですか…?【完】
千景にバトンが渡った瞬間、女の子たちの応援の声もより大きさを増した。





会場は今までにないくらい盛り上がりを見せていた。





頑張って千景…!頑張って!





胸の前で両手を握りしめ、必死に応援をした。





千景も足速いけど、なかなか差が埋まらなかった。





千景…





そして最終コーナーに差し掛かった時、私は無我夢中で叫んでいた。








「千景ー!頑張って!…勝って!!!」





隠れて応援に来ていることなど、この時はもう頭になかった。


考えるより先に声が漏れていたのだ。





千景…頑張ってっ…!負けないで…!








するとその瞬間、千景のスピードがぐいぐいと上がっていき、前を走っていた2番目の人を抜いたのだった。





「千景…!!!」





最後の直線へと差し掛かるときには、星くんと肩を並べて走るまで距離を縮めていたのだ。
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