独り占めしてもいいですか…?【完】
「千景!頑張れ!」





私の声は周りの声にかき消されて聞こえないかもしれない。





それでも叫ばずにはいられなかった。





最後の最後までデッドヒートが繰り広げられると、わずかの差で千景が星くんを抜いたのだった。





「やった!千景、勝った!」





私は隠れて応援に来ていることなど忘れ、飛び跳ねるように大きく喜んだ。





二人は力尽きたようにその場に倒れていたが、やり切った笑顔を浮かべ楽しそうに二人で笑っている姿がみえた。





すごいよ、千景…!

あんなに差がついてたのに!





急にスピードが上がって、どうしちゃったんだろう?





最後のために力を残していたとか?





…今はそんなこといっか。





私はただただ千景が嬉しそうに笑う姿をみていた。





千景の笑う姿をみて、つられるように私も笑みを零したのだった。
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