常識ナシの竜人サマ!
竜人の長って……
「なんですって!?」
レイデンス王国の南に位置するエリツィン公爵領、その領主の住む館の一室でフェニルはその美しい調度品のそろう部屋には似つかわしくない声を上げた。
「お父様、それは何の冗談ですの?」
こほんと自分の所作を恥じらい、フェニルは改めて目の前に居る壮年の厳しそうな……つまりは悪人顔の男を見据える。
フェニルはフルネームをフェニル・エリツィンといい、説明するまでもないかと思うが、エリツィン公爵家の令嬢だ。意地悪そうなつり目、雪のように白い肌、唇は血のような紅。悪女と誰もが考えるその顔は、しかしとても美しい。
「冗談などではない。もう一度言おうか。『竜人の長の元へ嫁げ』」
冷静だが、震えたくなるような低い声にフェニルはたじろぐがすぐに反論する。
「この私が竜人の元へ嫁ぐなんてお断りするに決まっているではありませんか」
レイデンス王国の南に位置するエリツィン公爵領、その領主の住む館の一室でフェニルはその美しい調度品のそろう部屋には似つかわしくない声を上げた。
「お父様、それは何の冗談ですの?」
こほんと自分の所作を恥じらい、フェニルは改めて目の前に居る壮年の厳しそうな……つまりは悪人顔の男を見据える。
フェニルはフルネームをフェニル・エリツィンといい、説明するまでもないかと思うが、エリツィン公爵家の令嬢だ。意地悪そうなつり目、雪のように白い肌、唇は血のような紅。悪女と誰もが考えるその顔は、しかしとても美しい。
「冗談などではない。もう一度言おうか。『竜人の長の元へ嫁げ』」
冷静だが、震えたくなるような低い声にフェニルはたじろぐがすぐに反論する。
「この私が竜人の元へ嫁ぐなんてお断りするに決まっているではありませんか」
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