常識ナシの竜人サマ!
 さて、それから竜人の元へ嫁ぐまでの日々は慌ただしく過ぎていった。

 ドレスの準備、国への手続き、関わった方々への挨拶……。だが意外なことに使用人は一人も連れて行かないようである。向こうで
すべて用意する、とのこと。フェニルは相手側は何を仕組んでいるのか、と訝しく思った。やはり竜人は信用できる者ではない、という考えがフェニルの中にはある。幼い頃殺されかけたのだ、当たり前だろう。


 そしてとうとう竜人の長に嫁ぐという日の前夜、静かにフェニルは決心した。





 


                    竜人に嫁いだとて自分が相手の男に愛を捧ぐ事はしない、と。
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