最後にあなたの唇を
今年、私は大学4年生になったばかり。
就活も忙しくなっていって、私も私で修斗に構うことも少なくなっている。
修斗も、残業や当直で忙しいらしく帰ってこれない日だってザラ。
付き合って3年、同棲して1年。
修斗への"好き"の気持ちは変わらないのに、その"好き"を伝える機会が極端になくなってしまった。
────────
────
「沙優(サユ)、それいい加減やばいよ?倦怠期だよ?」
「うぅ〜…」
「唸るのやめなさい」
大学内のカフェで私の目の前に座っている彼女、千賀子(チカコ)は、もう何度聞いたかわからないセリフを口にする。
「だってロクに気持ち伝えてないんでしょ?沙優も修斗さんも。3年付き合ってるからって気持ち伝えなくていいなんてことないんだよ?」
相変わらずの適切な千賀子の言葉に、私は何も言えなかった。