最後にあなたの唇を
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「────じゃ、行ってくるね」
「うん、行ってらっしゃい」
次の日、久しぶりに修斗と朝の会話をした。
そんな些細なことなのに、こんなに嬉しくて。
これは背中を押してくれた千賀子に感謝しなきゃ。
千賀子への報告とお礼を考えながら、私も大学へ向かった。
その間、色んなことも考えたりして。
修斗が好きだと言ってくれたことを思い出して照れたり。
けどまた前みたいに会話がなくなったらどうしようとか思ったり。
よし、今日は修斗の好きな肉じゃがでも作ってみようかなとか。
今度修斗の病院の話も聞いてあげようかなとか。
「…うわ、修斗ばっかじゃん、私」
千賀子へのお礼を考えてたはずが、いつのまにか修斗のことしか考えてない自分に笑ってしまった。