こちら、メディア検閲科
IN THE 大学
ごめんね、全く分かんないよね。
なんだよ近未来を表したような風景って!
語彙力無さすぎだろ!
見たものから順を追って説明するよ。

まずは停留所から見える全体図から。
大学というのに大きなビルが立ち並んでいる。全てガラスが窓に敷き詰められてて、
クレーン車に乗った従業員さんが磨いてる。お疲れ様です。
見た感じ緑という緑は全くない。
大都市を大学として凝縮しているようにも見える。
近未来要素としてはビルの間に通路がいくつも張り巡らされていたり、
電光掲示板が空に浮かんでたりかな。
多分入ったらもっとあると思うよ。

かなり規模はデカイ。
国会議事堂二個分くらい。

隣で辰岡さんが口を出した。

「我が校は学部ごとに棟を区分しているわ。
医学部、文学部、環境・建築学部、農学部、教育学部、経営学部、国際英語学部など。私たちメディア検閲科は社会学部ね。
学科はその学部棟の階で分けられているのよ。
学部棟の外には実践の場として
生徒自身が経営する施設があるの。
病院、図書館、博物館、マーケット、公園とかね。
学生寮も学校内にあるわ。
この大学内で生活をしながら勉強することが出来るようにしているの。
遠い所の入学者も多いからね。」

「た、辰岡先生、アレは?」

俺が指を指したもの、
それは、上空からこの大学へ向かってきている一機の飛行機。

あぁ、あれはね、と辰岡さんは笑う。

「あれは国際英語学部所有の飛行機よ。
あれで学校所有の滑走路を通過して、
海外の姉妹校に直接行くことができるの。
他にも何機かあって、文学部の歴史学科の研修や
医学部の海外出張の際にも使われているわね。」

俺は唖然としていた。
学部所有の飛行機?学校所有の滑走路?
何言ってんの?
どんだけ莫大な費用かけてるんだよ!!

藍川さんが気持ちを汲み取ってくれたのか、
説明してくれた。

「私たちの世代って少子化でしょう?
だから入学希望者が激減して、
つぶれてしまう大学が後を絶たなかったの。そこで教授を受け入れて、その大学の資産を存続し合併させる協定を結んだのよ。
大学内では日本一と言われるほど沢山教授がいて、より幅広い知識を身に付けられるようにもなったわね。
今では規模は世界を争うわ。」

あのぅ、と俺は口を挟む。

「どれくらい生徒はいらっしゃるんですか?」

指折り数えてから、彼女は答える。

「一回生ごとに約千人いるから…約四千人ね。」

「四千人?!」

学科のわりに少なくね?
ふふ、と藍川さんは笑う。

「偏差値およそ80の大学だからね。ものすごく厳選されるの。
競争率は30倍。進学校からの希望者が多いわね。
私の時代もそんなだった。」

あ、あの、俺いいんでしょうか。
こんな、こんな劣等ものがこの大学の敷居をまたいでよいのでしょうか。
一人だけ特別入学とか、裏口入学よりも胸が痛いんだけど。

「お、俺、急にお腹痛く……」

帰りたくなったところを辰岡さんに止められる。

「トイレは中にあるわ。ゆっくり見てってちょうだい。」


ガッデム‼‼
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