笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「いつかきっと、また逢えるよ」
「………………」
 まなちゃんは返事をしてくれなかった。
 水樹くんがいたときは、あんなにおしゃべりだったのに、あたしと二人きりになった途端に急に無口になってしまった。
 やっぱり、昼間のことを怒っているのだろうか。あたしは心配になってしまった。

「さきさん、ちょっといいですか」
 まなちゃんがようやく口を開いてくれた。いつもの愛らしい笑顔ではなく、ちょっと怖い顔をしている。

「う、うん……」
 あたしは小さな声で返事をした。怖い顔のままのまなちゃんに何を言われるのか、ちょっとドキドキする。

 どーせあたしはダメダメ女♪ わかっちゃいるんだまなちゃんよ♪ なんて、心の中で歌ってる場合じゃない。
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