笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 タバコの吸殻。空き缶。ペットボトル。割り箸。紙くず。カップラーメンの容器。アイスの棒。ビニール袋。いろんな種類のゴミが落ちている。

 三十分間ほど拾い集めただけで、ゴミ袋がいっぱいになってしまった。

「ゴミ拾いを手伝っていただきまして、どうもありがとうございました。それでは、僕たちは帰ります」
「うん。これからも頑張ってね」
「はい。頑張ります。それでは、失礼致します」
 清掃活動を終えた稲二郎くんと麦三郎くんは、あたしとまなちゃんが拾ったゴミも持って、砂浜から離れていった。

「なんだか清々しいね」
「はい。とっても清々しいです」

 ゴミが落ちていない綺麗な砂浜。

 みんながみんなマナーを守れば、海も砂浜もずっと綺麗なままなのに、平気でゴミを捨てる人がいるから、海も砂浜も汚れてしまう。

 ゴミを捨てる人。ゴミを拾う人。人が変わらなければ、いたちごっごは終わらない。

「人って変われるものなんですね」
 まなちゃんが嬉しそうな声で言った。

「そうだね」
 あたしもなんだか嬉しくなった。

 人は変われる。

 何かをきっかけに変われる人。全く変われない人。あたしは偉そうなことばかり言っていて、自分では何一つ変わっていないと思う。何の目的もなしに、ふらっと出た旅。これからもっといろんなことを経験していけば、稲二郎くんや麦三郎くんのように、あたしも変われるかもしれないと思った。
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