笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「おじいちゃん、あたしの水も飲んで」
「ありがとう。遠慮なく飲ませてもらうよ」
まなちゃんの水を飲み干したのに、まだ飲み足りないのだろうか。ステテコ姿のおじいちゃんは、あたしの水もがぶ飲みしていて、ブサイク顔の秋田犬に水を飲ませている。
まなちゃんの水筒もあたしの水筒も空になってしまったけど、ステテコ姿のおじいちゃんに文句は言えない。
喉がカラカラのまま、ステテコ姿のおじいちゃんとブサイク顔の秋田犬のペースに合わせて歩いていき、途中でコンビニに寄って休憩して、辺りが薄暗くなってきた頃、ようやく南州神社にたどり着いた。
時間が遅いせいか、観光客の姿は見当たらない。
「どうもお疲れ様でした」
まなちゃんがステテコ姿のおじいちゃんに優しく声を掛けた。
「どうもお疲れさんじゃった」
炎天下の中、長い距離を歩いたステテコ姿のおじいちゃんとブサイク顔の秋田犬は、とても元気そうな様子。頭はボケているけど、足腰はしっかりしているよう。
「わしは、西郷隆盛が好きでな。この南州神社によく来ているのじゃよ」
「そうなんですか。おじいさんのお気に入りの神社なんですね」
「うん。この南州神社はな、西郷隆盛の遺徳を称えて建てられた神社なんじゃよ」
「そうなんですか。私も西郷隆盛が好きなんですよ」
「西郷隆盛、生まれは文政十年十二月七日。数々の苦難を乗り越えて、薩長同盟、江戸城無血開城、西南戦争で活躍し……」
ステテコ姿のおじいちゃんは、自慢げな表情で西郷隆盛のことについて話し始めた。
「へえ、そんなこともあったんですか」
まなちゃんは熱心な様子で耳を傾けている。
西郷隆盛なら、あたしも知っている。上野で西郷隆盛の銅像を見たことがあるからだ。
あたしは西郷隆盛にも歴史にも興味が無いので、二人の会話には入らず、鳥居をくぐったところにある、手水舎の水で顔と手を洗い、一人で南州神社を見て回った。
「ありがとう。遠慮なく飲ませてもらうよ」
まなちゃんの水を飲み干したのに、まだ飲み足りないのだろうか。ステテコ姿のおじいちゃんは、あたしの水もがぶ飲みしていて、ブサイク顔の秋田犬に水を飲ませている。
まなちゃんの水筒もあたしの水筒も空になってしまったけど、ステテコ姿のおじいちゃんに文句は言えない。
喉がカラカラのまま、ステテコ姿のおじいちゃんとブサイク顔の秋田犬のペースに合わせて歩いていき、途中でコンビニに寄って休憩して、辺りが薄暗くなってきた頃、ようやく南州神社にたどり着いた。
時間が遅いせいか、観光客の姿は見当たらない。
「どうもお疲れ様でした」
まなちゃんがステテコ姿のおじいちゃんに優しく声を掛けた。
「どうもお疲れさんじゃった」
炎天下の中、長い距離を歩いたステテコ姿のおじいちゃんとブサイク顔の秋田犬は、とても元気そうな様子。頭はボケているけど、足腰はしっかりしているよう。
「わしは、西郷隆盛が好きでな。この南州神社によく来ているのじゃよ」
「そうなんですか。おじいさんのお気に入りの神社なんですね」
「うん。この南州神社はな、西郷隆盛の遺徳を称えて建てられた神社なんじゃよ」
「そうなんですか。私も西郷隆盛が好きなんですよ」
「西郷隆盛、生まれは文政十年十二月七日。数々の苦難を乗り越えて、薩長同盟、江戸城無血開城、西南戦争で活躍し……」
ステテコ姿のおじいちゃんは、自慢げな表情で西郷隆盛のことについて話し始めた。
「へえ、そんなこともあったんですか」
まなちゃんは熱心な様子で耳を傾けている。
西郷隆盛なら、あたしも知っている。上野で西郷隆盛の銅像を見たことがあるからだ。
あたしは西郷隆盛にも歴史にも興味が無いので、二人の会話には入らず、鳥居をくぐったところにある、手水舎の水で顔と手を洗い、一人で南州神社を見て回った。