笑顔と猫とどんぶらこ～フーテンさきの歌紀行～

「今夜は、どこに泊まりましょうか」
「この近くに、ペット可の旅館かホテルはあるかな」
「スマホで調べてみますね」

　まなちゃんがスマホで調べている間に、あたしはステテコ姿のおじいちゃんに言って聞かせて、ブサイク顔の秋田犬に焼き鳥の缶詰を与えた。

「どう？　美味しい？」
　あたしは腰を屈めながら、ブサイク顔の秋田犬に話し掛けてみた。

「くーん、くんくんくん」
　ブサイク顔の秋田犬は、尻尾を振りながら、焼き鳥の缶詰を美味しそうに食べている。顔はブサイクだけど、鳴き声は可愛らしい。

「この近くに、ペット可の旅館やホテルはないようです」
　まなちゃんが残念そうな顔で言った。

「仕方ないね。じゃあさ、みんなでテントで泊まろうか」
「そうしましょう」
　まなちゃんがいつもの愛らしい笑顔で言ってくれた。

「ねえ、おじいちゃん。あたしとまなちゃんと一緒にテントで泊まる？」
「うん。いいよ」
　はにかんだ笑顔で返事をしてくれたステテコ姿のおじいちゃんは、テントで泊まるということが、どういうことなのか理解しているのだろうか。あたしはちょっと不安になってしまった。