笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「それでは、ソーメンを流しまーす!」
 大会運営本部長の小早川くんがソーメンを流し始めた。

  あたしとまなちゃんは割り箸とお椀を持って、勢いよく竹を滑ってくるソーメンをすくって口に運んだ。

 小早川くんが流しているソーメンは、スーパーで買ったものだと思うけど、水がすごく綺麗だし、流しソーメンの雰囲気がかもし出ているので、あたしがいつも食べているソーメンより美味しく感じられる。

「次は私が流しますので、小早川さんもソーメンを食べてください」
「どうもありがとうです」

 ソーメンを流す係を三人で交代し合って、みんなで流しソーメンを楽しんだ。

 本格的な流しソーメンの台なので、流す係も食べる係も楽しい。

「日本のソーメンは歯応えがあって、とても美味しいですね。ピポピポ星のソーメンと引けを取りません」
 小早川くんが笑顔で日本のソーメンの感想を語った。

「ピポピポ星にも、ソーメンがあるんですか?」
 まなちゃんが嬉しそうな顔で小早川くんに尋ねた。

「ソーメンも冷麦もそばもラーメンもパスタもありますし、地球にある食べ物は、ほとんどあります」
「そうなんですか。ピポピポ星は、地球と似たような星なんですね」
「はい。星の大きさも地球とほぼ同じくらいでして、海も川も湖も山もありますよ」
「そうなんですか。ピポピポ星のことをもっと教えてください」

 まなちゃんは純粋な心を持っているから、小早川くんがピポピポ星人だと信じているようだ。
 あたしはちょっとひねくれた性格なので、半信半疑のまま、小早川くんの話に耳を傾けた。
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