笑顔と猫とどんぶらこ～フーテンさきの歌紀行～
「小早川さんは、いろんな星を旅しているんですね」
「はい。休日を利用して、宇宙中の星を旅しています」

　まなちゃんと小早川くんの会話を聞いていて、あたしは肝心なことを聞き忘れていたことに気がついた。

「話の途中で悪いんだけど、小早川くんは何をしに地球にやって来たの？」
　素朴な疑問を小早川くんに投げかけてみた。

「観光です。僕が地球を訪れたのは、今回で二回目になります。前回は冬に来たので、今回は夏に来ました。それでですね」

　地球に来た理由を、淡々とした表情で答えてくれた小早川くんの話によると、広い宇宙には、地球人のような種族がたくさんいて、多くの宇宙人観光客が地球を訪れているという。

　地球の通貨を稼ぐために、短期アルバイトをしている宇宙人もいるらしい。

　小早川くんは、まなちゃんのように有給休暇を取得して、地球に来てから二週間ほど、道路工事のガードマンの短期アルバイトをして、地球の通貨を稼ぎ、アフリカ、ヨーロッパ、アジアを回って、最後に日本にやって来たとのことだった。

　小早川くんの話は、到底信じられる話ではない。でも、小早川くんは精神異常者のようには見えない。どっからどう見ても普通の青年。疑ってばかりいては、旅がつまらなくなってしまうので、あたしも小早川くんの言うことを信じることにした。
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