笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 のどかな農道を一時間ほど歩いてスーパーに着き、三人でお金を出し合って、大きなスイカを三個と花火セットを買った。

 スイカ割りといえば海だけど、ここは海からかなり離れているので、流しソーメンをさせてもらったおじさん家に戻り、広い庭でスイカ割りをすることにした。

 お世話になっているおじさんに大きな桶と木製バットを貸してもらって、桶に水を入れてスイカを冷やした。

 スイカを割る順番を決めるため、あたしは作詞作曲用のノートにあみだくじを書いた。

 あみだっくじ♪ おみだっくじ♪ 引いて楽しいあみだっくじ♪ どれにしようかあみだっくじ♪ 

 思わずあたしはあみだくじの歌を歌ってしまった。

「今の歌は何ですか?」
 小早川くんが驚いたような顔で聞いてきた。

「あみだくじの歌だよ。知らないの?」
「知りません。初めて聴きました。あみだくじの歌ですか。素敵な歌ですね。もう一度、歌ってもらえませんか」
「いいよ」
 あたしは再びあみだくじの歌を歌い始めた。

 歌詞もメロディーも親しみやすいので、小早川くんもあみだくじの歌を歌っている。

 あみだっくじ♪ おみだっくじ♪ 引いて楽しいあみだっくじ♪ どれにしようかあみだっくじ♪

 嬉しそうな顔で、あみだくじの歌を繰り返し歌っている小早川くんを見ていて、ピポピポ星でも、あみだくじの歌が流行る日が来るかもしれないと思った。
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