笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「さきさんは、歌がとてもお上手ですね。サインをください」
 小早川くんも、あたしのファンになってくれたよう。

「いいよ。このノートに書いてあげるね」

 ミミズのような文字で『佐藤さき。ピポピポ星人、小早川大輔』と書いて、作詞作曲用のノートを千切り、小早川くんに手渡した。

「どうもありがとうございます! ピポピポ星に帰ったら! 友達に自慢しようと思います!」

 あたしのサインを受け取って、子供のように飛び跳ねながら喜んでいる小早川くんを見ていて、あたしがピポピポ星で有名になる日が来るかもしれないと思った。



「私が一番目ですね」
 あみだくじによる抽選の結果、スイカを割る順番は、まなちゃん、小早川くん、あたしの順の決まった。

  まなちゃんの目をバンダナで隠して、スイカ割り大会が始まった。

「まなちゃん、もうちょっと右だよ」
 スイカが上手く割れるように、よろよろと歩いているまなちゃんに声を掛けてみた。

「右ですね。この辺りですか?」
「うん。その辺りだよ」
「それでは、スイカを叩きます。えい!」
 まなちゃんはおもいっきりバットを振って、見事にスイカを割った。

 ほとばしる果汁。真っ赤な果実。とっても美味しそうなスイカ。
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