笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 あたしとまなちゃんと小早川くんは、部屋に戻って布団を畳んで荷物をまとめて出発の準備を済ませた。

「いろいろとお世話になりました」
 昨日から今日にかけてお世話になったおじさんに頭を下げてお礼を言って出発した。

「今日は、何をして遊ぼうか」
 小早川くんに聞いてみた。

「蚊取り線香を買いたいので、昨日行ったスーパーに行きませんか?」
「いいよ」
「いいですよ」

 のどかな農道をのんびり歩いてスーパーに行き、小早川くんが、お目当ての蚊取り線香を大量に購入していた。

 ピポピポ星に蚊はいないのに、そんなに蚊取り線香を買ってどうするの? と小早川くんに聞いてみたところ、香ばしい香りの煙を楽しみたいとのことで、日本の夏の風物詩の蚊取り線香を、家族や友達にプレゼントすると言っていた。

 スーパーの近くの食堂でお昼ご飯を食べた後、三人でぶらぶら歩き回り、日本の文化や風習などを、小早川くんに説明して、風鈴を買うためにお土産屋さんに入った。

 ちりーん♪ ちりーん♪ ちりりーん♪ ちりーん♪ ちりーん♪ ちりりーん♪

 涼しい音色を奏でている風鈴も、夏の風物詩の一つ。

「日本の風鈴の音色は、とても美しいですね。心が安らぎます」
 お土産屋さんの風鈴の音色を聞いて、涼しげな表情を浮かべている小早川くんは、UFO型の風鈴を十個も買っていて、あたしとまなちゃんは、星型の風鈴を買った。
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