笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「おばあさんの家はどこですか?」
まなちゃんがもんぺ姿のおばあちゃんに尋ねた。
毎回のことながら、まなちゃんが聞き役と話し役で、あたしは見守り役。
「この林道を抜けて、少し歩いたところだよ」
「おばあさんの家は、この近くなんですね。私たちと一緒に家に帰りましょうか」
「うん。あなた方と一緒に家に帰るよ」
力仕事なら任せとけ。あたしはもんぺ姿のおばあちゃんの顔を見つめながら、心の中でつぶやいた。
「あたしがおんぶしますね」
まなちゃんにリュックサックとアコギを持ってもらい、あたしはもんぺ姿のおばあちゃんを背中におぶって、振動を与えないようにゆっくりと歩き始めた。
山形県で出会った田吾作おじいちゃんより高齢に見えるもんぺ姿のおばあちゃんは、あたしのリュックサックよりちょっと軽い。
「歩きながら自己紹介をさせていただきますね。私は山下まなと申しまして、おばあさんを背負っている女性は佐藤さきさんです」
「まなちゃんとさきちゃんだね。私の名前は藤森かよだよ。かよちゃんと呼んでおくれ」
「はい。それでは、かよちゃんと呼ばせていただきます」
かよちゃん、まなちゃん、さきちゃん。歳はかなり離れているけど、まるで三姉妹になったようで、なんだかちょっぴり嬉しい。
「かよちゃんの名前は、どういう漢字なんですか?」
「私の名前は、ひらがなだよ」
「かよちゃんの名前もひらがななんですね。私とさきさんの名前もひらがななんですよ」
「そうなのかい」
「はい。かよちゃんは、青森弁でも津軽弁でもないですね」
「私は、四十歳過ぎまで東京で暮らしていたから、今でも標準語で話しているのさ」
「そうなんですか。私とさきさんは、東京から歩いて来たんですよ」
「そんな遠くから歩いて来たのかい」
あっという間に仲良しになったかよちゃんとまなちゃんの会話に耳を傾けながら歩いていき、林道を抜けて、五百メートルほど歩いたところで、かよちゃん家に着いた。
田舎の家はとにかく庭が広い。羨ましくなるほどの広さ。かよちゃん家は平屋建ての一軒家で、広々とした庭に大きなリンゴの樹が立っている。
一、二、三、四、五……。あたしはかよちゃんをおぶったまま、大きなリンゴの樹にぶら下がっているリンゴの数をざっと数えてみた。三十個くらいある。まだ収穫時期ではないのだろうか。どのリンゴも黄緑色をしている。
まなちゃんがもんぺ姿のおばあちゃんに尋ねた。
毎回のことながら、まなちゃんが聞き役と話し役で、あたしは見守り役。
「この林道を抜けて、少し歩いたところだよ」
「おばあさんの家は、この近くなんですね。私たちと一緒に家に帰りましょうか」
「うん。あなた方と一緒に家に帰るよ」
力仕事なら任せとけ。あたしはもんぺ姿のおばあちゃんの顔を見つめながら、心の中でつぶやいた。
「あたしがおんぶしますね」
まなちゃんにリュックサックとアコギを持ってもらい、あたしはもんぺ姿のおばあちゃんを背中におぶって、振動を与えないようにゆっくりと歩き始めた。
山形県で出会った田吾作おじいちゃんより高齢に見えるもんぺ姿のおばあちゃんは、あたしのリュックサックよりちょっと軽い。
「歩きながら自己紹介をさせていただきますね。私は山下まなと申しまして、おばあさんを背負っている女性は佐藤さきさんです」
「まなちゃんとさきちゃんだね。私の名前は藤森かよだよ。かよちゃんと呼んでおくれ」
「はい。それでは、かよちゃんと呼ばせていただきます」
かよちゃん、まなちゃん、さきちゃん。歳はかなり離れているけど、まるで三姉妹になったようで、なんだかちょっぴり嬉しい。
「かよちゃんの名前は、どういう漢字なんですか?」
「私の名前は、ひらがなだよ」
「かよちゃんの名前もひらがななんですね。私とさきさんの名前もひらがななんですよ」
「そうなのかい」
「はい。かよちゃんは、青森弁でも津軽弁でもないですね」
「私は、四十歳過ぎまで東京で暮らしていたから、今でも標準語で話しているのさ」
「そうなんですか。私とさきさんは、東京から歩いて来たんですよ」
「そんな遠くから歩いて来たのかい」
あっという間に仲良しになったかよちゃんとまなちゃんの会話に耳を傾けながら歩いていき、林道を抜けて、五百メートルほど歩いたところで、かよちゃん家に着いた。
田舎の家はとにかく庭が広い。羨ましくなるほどの広さ。かよちゃん家は平屋建ての一軒家で、広々とした庭に大きなリンゴの樹が立っている。
一、二、三、四、五……。あたしはかよちゃんをおぶったまま、大きなリンゴの樹にぶら下がっているリンゴの数をざっと数えてみた。三十個くらいある。まだ収穫時期ではないのだろうか。どのリンゴも黄緑色をしている。