笑顔と猫とどんぶらこ～フーテンさきの歌紀行～

「おかげ様で庭が綺麗になったよ。さきちゃん、まなちゃん、どうもご苦労様。家に上がって、リンゴジュースを飲んでおくれ」
　かよちゃんが微笑みながら言ってくれた。

「はい。ご馳走になります」
　あたしとまなちゃんはタオルで汗を拭きながら靴を脱いで上がり、涼しい風が吹き抜ける縁側に座って、かよちゃんの手作りのリンゴジュースを一気に飲み干した。

　うまい！　もう一杯！　おかわり！

　美味しすぎる、かよちゃんの手作りのリンゴジュース。あたしもまなちゃんもおかわりして、立て続けに一気に飲み干した。

「他に何かお手伝いすることはありませんか？」
　にこにこと微笑んでいるかよちゃんに聞いてみた。

「それじゃあ、次は買い物を頼むとするかね」
「買い物ですね。すぐに行ってきます」

　必要な物とスーパーの場所をかよちゃんに聞いて、あたしとまなちゃんは服を着替えて買い物に向かった。

「すごく遠いね」
「はい。こんなに遠いとは思っていませんでした」

　歩けども歩けども、スーパーは見えてこない。

　あたしもまなちゃんも急ぎ足で歩いたものの、かよちゃん家からスーパーまで、一時間以上も掛かってしまった。

　都会はちょっと歩けばコンビニがある。田舎暮らしの大変さを思い知った今日この頃。



　買い物を終えて、かよちゃん家に向かって歩いていたとき、急に雲行きが怪しくなり、空がピカッと光って雷鳴が轟き、一気に土砂降りの雨が降り注いできた。

　目を開けていられないほどの雨風。あたしもまなちゃんもあっという間にずぶ濡れになってしまい、嵐の中を大急ぎで歩いて、かよちゃん家に戻った。

　あたしとまなちゃんの帰りをずっと待っていてくれたのだと思う。玄関のドアを開けた瞬間に、かよちゃんがタオルを手渡してくれた。

「お風呂を沸かしておいたから、ゆっくり入っておくれ」
「はい。お風呂に入らせていただきます」

　あたしとまなちゃんは玄関で服を脱いでタオルで足を拭いて上がり、スーパーで買ってきた物を台所のテーブルの上に置いて、二人で一緒にお風呂に入った。

　あたしはここぞとばかりに体を洗いまくり、まなちゃんが体を洗っている間に、ゆっくりと湯船に浸かった。

　外から激しい雨風の音が聞こえてきて、お風呂場の壁がぐらぐらと揺れている。かよちゃん家が壊れないか心配。