笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「わあ! すごい!」
あたしは歓喜の声を上げた。
目がくりっとした可愛らしい鹿の彫刻。鮭を咥えている熊の彫刻。
大きな翼を広げている鷹の彫刻。
巨大なマグロの彫刻。
船に乗っている七福神の彫刻
リンゴも枝も葉っぱも幹も繊細に表現されているリンゴの樹の彫刻。
部屋の至るところにいろんな種類の木彫りの彫刻が置かれている。
どの彫刻も実に見事な出来栄え。
「この部屋に置かれている彫刻は、かよちゃんが作ったんですか?」
あたしが彫刻に見とれている間に、まなちゃんがかよちゃんに尋ねた。
「私が作ったんだよ」
誇らしげな表情で言ったかよちゃんは、木彫りの彫刻を趣味としていて、毎週土曜日の午後、この部屋で彫刻教室を開いているという。
かよちゃんの教え方と腕に惚れ込んで、遠方からはるばる通ってくる生徒さんもいるらしい。
「彫刻を彫ってみるかい?」
「はい。彫り方を教えてください」
あたしとまなちゃんは、かよちゃんの彫刻教室の生徒になり、かよちゃんのアトリエの絨毯の上に座った。
「この道具を使っておくれ」
リンゴおばあちゃんから彫刻教室の先生に変身したかよちゃんが、ノミや金槌や彫刻刀や鉄ヤスリなどの彫刻セットと、二十センチくらいの大きさの丸太をテーブルの上に置いてくれた。
あたしは木彫りの彫刻を彫るのは中学生以来。
「まなちゃんは何を彫るの?」
あたしの隣に座っているまなちゃんに聞いてみた。
「猫の彫刻を彫ってみようと思います」
「まなちゃんはチャレンジャーだね」
あたしは丸太を見つめながら、何を彫ろうか考えた。
竹やぶを彫ろうか。ソーメンを彫ろうか。流しソーメンの台を彫ろうか。麺つゆを彫ろうか。蚊取り線香を彫ろうか。どれもこれも難しいので、リンゴを彫ることに決めた。
「指を切らないように気をつけてね」
「はい。気をつけます」
彫刻作り開始。
あたしとまなちゃんは、ノミと金槌を握り締めて、かよちゃん先生の指導の元、丸太を削り始めた。
あたしは不器用じゃないと思うけど、どうにも肩に力が入ってしまい、なかなか上手く削ることができない。
料理が上手なまなちゃんは手先が器用なようで、ノミの使い方も彫刻刀の使い方もとても上手。
あたしは歓喜の声を上げた。
目がくりっとした可愛らしい鹿の彫刻。鮭を咥えている熊の彫刻。
大きな翼を広げている鷹の彫刻。
巨大なマグロの彫刻。
船に乗っている七福神の彫刻
リンゴも枝も葉っぱも幹も繊細に表現されているリンゴの樹の彫刻。
部屋の至るところにいろんな種類の木彫りの彫刻が置かれている。
どの彫刻も実に見事な出来栄え。
「この部屋に置かれている彫刻は、かよちゃんが作ったんですか?」
あたしが彫刻に見とれている間に、まなちゃんがかよちゃんに尋ねた。
「私が作ったんだよ」
誇らしげな表情で言ったかよちゃんは、木彫りの彫刻を趣味としていて、毎週土曜日の午後、この部屋で彫刻教室を開いているという。
かよちゃんの教え方と腕に惚れ込んで、遠方からはるばる通ってくる生徒さんもいるらしい。
「彫刻を彫ってみるかい?」
「はい。彫り方を教えてください」
あたしとまなちゃんは、かよちゃんの彫刻教室の生徒になり、かよちゃんのアトリエの絨毯の上に座った。
「この道具を使っておくれ」
リンゴおばあちゃんから彫刻教室の先生に変身したかよちゃんが、ノミや金槌や彫刻刀や鉄ヤスリなどの彫刻セットと、二十センチくらいの大きさの丸太をテーブルの上に置いてくれた。
あたしは木彫りの彫刻を彫るのは中学生以来。
「まなちゃんは何を彫るの?」
あたしの隣に座っているまなちゃんに聞いてみた。
「猫の彫刻を彫ってみようと思います」
「まなちゃんはチャレンジャーだね」
あたしは丸太を見つめながら、何を彫ろうか考えた。
竹やぶを彫ろうか。ソーメンを彫ろうか。流しソーメンの台を彫ろうか。麺つゆを彫ろうか。蚊取り線香を彫ろうか。どれもこれも難しいので、リンゴを彫ることに決めた。
「指を切らないように気をつけてね」
「はい。気をつけます」
彫刻作り開始。
あたしとまなちゃんは、ノミと金槌を握り締めて、かよちゃん先生の指導の元、丸太を削り始めた。
あたしは不器用じゃないと思うけど、どうにも肩に力が入ってしまい、なかなか上手く削ることができない。
料理が上手なまなちゃんは手先が器用なようで、ノミの使い方も彫刻刀の使い方もとても上手。