笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 晩ご飯を食べてお風呂に入った後、昨日の夜に作ったかよちゃんのリンゴの歌を聴いてもらうため、かよちゃんとまなちゃんに縁側に座ってもらった。

 あたしは月明かりの下で三人で作ったリンゴジュースの入ったコップを持って、かよちゃんの大切なリンゴの樹の前に立った。

「それでは歌います。かよちゃんのリンゴの歌です」
 近所迷惑もなんのその、夜になっても鳴き続けている蝉に負けないくらいの声で、おもいっきり歌うことにした。 
 
 実ったあ♪ 実ったあ♪ かよちゃんの大切なリンゴの樹に真っ赤なリンゴの実が実ったあ♪ どのリンゴも生き生きしているよ♪ とってもとっても美味しそうだよ♪ 早く食べておくれ♪ ぼくがいちばん美味しいよ♪ おいらのほうが美味しいよ♪ あたしのほうが美味しいよ♪ どのリンゴも美味しそうだなあ♪ 
 迷ったあ♪ 迷ったあ♪ かよちゃんはどのリンゴから食べようか迷ったあ♪ きみから食べてあげるよ♪ わーい♪ やったあ♪ どうもありがとう♪ ゆっくりと味わって食べてね♪ 
 美味しいよ♪ 美味しいよ♪ 美味しすぎて♪ ほっぺが落ちそうだよ♪ きみを食べられて嬉しいよ♪ かよちゃんのリンゴはみんな美味しいよ♪ かよちゃんのリンゴはみんな笑顔だよ♪ おかわり♪ おかわり♪ おかわり♪ ああ♪ どうにもこうにも手が止まらない♪ このー樹何の樹♪ かよちゃんのリンゴの樹♪

 ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち! 

 かよちゃんもまなちゃんも立ち上がって、笑顔で拍手を送ってくれた。
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