笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
真夏の日差しが照りつける中、のどかな田舎道を北に向かって歩き続けていき、池袋を出発してから、六十八日目にして、青森港の青函フェリーターミナルにたどり着いた。
「いよいよ北海道だね!」
「はい! すごく楽しみです!」
港に停泊しているフェリーに乗って津軽海峡を渡れば北海道。
あたしとまなちゃんは意気揚々とターミナルの中に入り、乗船券を買って、待合室のベンチに座った。
乗船時間まで四十分くらいあるので、あたしはアコギの手入れに取り掛かった。
まなちゃんは鼻歌を歌いながら、水樹くんと綾香さん宛のメールを書いている。
ここにたどり着くまでにいろんなことがあったので、まなちゃんの嬉しい気持ちはよくわかる。
「先生! 先生!」
待合室のベンチに座ったまま、アコギの手入れをしていたとき、見知らぬスーツ姿のおじさんが、あたしとまなちゃんのところに駆け寄ってきた。
「とうとう見つかってしまいました」
ぽつりとつぶやいたまなちゃんがベンチから立ち上がった。
笑っているような、悲しんでいるような、なんとも言えない複雑な表情を浮かべている。
「こちらの男性は、私のマネージャーを務めてくださっている、海老原さんです」
まなちゃんがスーツ姿のおじさんをあたしに紹介してくれた。
あまりにも突然すぎる出来事だったので、あたしは状況を飲み込めず、ベンチに座ったまま、まなちゃんの顔をじっと見つめた。
「いよいよ北海道だね!」
「はい! すごく楽しみです!」
港に停泊しているフェリーに乗って津軽海峡を渡れば北海道。
あたしとまなちゃんは意気揚々とターミナルの中に入り、乗船券を買って、待合室のベンチに座った。
乗船時間まで四十分くらいあるので、あたしはアコギの手入れに取り掛かった。
まなちゃんは鼻歌を歌いながら、水樹くんと綾香さん宛のメールを書いている。
ここにたどり着くまでにいろんなことがあったので、まなちゃんの嬉しい気持ちはよくわかる。
「先生! 先生!」
待合室のベンチに座ったまま、アコギの手入れをしていたとき、見知らぬスーツ姿のおじさんが、あたしとまなちゃんのところに駆け寄ってきた。
「とうとう見つかってしまいました」
ぽつりとつぶやいたまなちゃんがベンチから立ち上がった。
笑っているような、悲しんでいるような、なんとも言えない複雑な表情を浮かべている。
「こちらの男性は、私のマネージャーを務めてくださっている、海老原さんです」
まなちゃんがスーツ姿のおじさんをあたしに紹介してくれた。
あまりにも突然すぎる出来事だったので、あたしは状況を飲み込めず、ベンチに座ったまま、まなちゃんの顔をじっと見つめた。