笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 ルルルルル♪ ぼくの名前はルルだよ♪ ルルルルル♪ 富良野の大自然の中で暮らしてるんだ♪ ルルルルル♪ ぼくのおうちにおいでよ♪ ルルルルル♪ 美味しいハチミツミルクをごちそうしてあげるよ♪ ルルルルル♪

 爽やかな秋晴れの下、ルルくんの歌を歌いながら西に向かって歩き続けていき、函館を出発してから、十五日目にして、北の国からで有名な富良野市に入った。

 色鮮やかなラベンダー畑。一面、黄色と緑のひまわり畑。広大に広がる緑の草原。これぞ正しく北海道の風景。写真やテレビドラマや映画で見た風景が目の前に広がっている。空も大地も美しくて、空気が最高に美味しい。

 北海道はでっかいどう! 雄大な大自然を目の前にして、叫ばずにはいられない。
 
 秋の優しい日差しが降り注ぐ中、たまに通り過ぎていく、ノロッコ列車に乗っている乗客に手を振りながら、線路沿いの道を歩いていくと、美瑛駅に着いた。

 美瑛の美しい風景もテレビで見たことがある。北海道に来たからには、美瑛の丘を巡らなければならない。

 コンビニに寄って、おにぎりと焼きそばパンとカップラーメンを食べて腹ごしらえをした後、美瑛駅近くの観光案内所に入り、観光マップをもらった。

 あたしの腕時計の時刻は、五時三十八分。辺りはだいぶ薄暗くなっている。今日は時間が遅いので、明日の朝から美瑛の丘を巡ってみることにした。

 今夜もテント泊まり。宗谷岬で歌う曲の作詞作曲をして、歯を磨いた後、寝袋に入って寝る毎日。満天の星空を眺めても鈴虫の鳴き声を聞いても日本酒を飲んでも寂しさは紛れない。人肌が恋しい。あたしの心と体を温めてくれる人が欲しいと思う今日この頃。
< 223 / 258 >

この作品をシェア

pagetop