笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 なんだよう。なんだよう。せっかく胸の谷間を見せてあげたのに、なんだよう。

 あたしはいじけながら道端に座り込んだ。

 こんなあたしを好きになってくれる人なんかいない。あたしに寄ってくる男は、体目当ての男とおっぱい星人ばかり。誠実で優しい男性は全く寄ってこない。

 広大な丘に沈んでいく真っ赤な夕日が目に染みる。冷たい秋風が身に染みる。別にふられたわけじゃないけど、なんだか無性に寂しい。

 恋の女神様♪ あたしの願いを叶えて♪ かっこいい大地さんを連れ戻して♪ 早く早く早く早く♪ 早くお願い♪ へーくだよ♪

 今さら恋の女神様の歌を歌ったところで、大地さんは戻ってこない。あたしの願いは叶わない。夢は幻のまま。こうなったらもう、焼き鳥の缶詰をやけ食いだ。
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