笑顔と猫とどんぶらこ～フーテンさきの歌紀行～

　いっぱい稼いでくれたちゃとらんへのご褒美。

　ペットショップに行って、ちゃとらんの首輪と鈴と布団と、一缶、千円もする高級キャットフードを十個買った。

「いっぱい食べてね」
「にゃにゃにゃん」

　ちゃとらんは、キャットフードが嫌いなのだろうか。お椀にてんこ盛りになっている高級キャットフードを食べようとしない。

「焼き鳥の缶詰のほうがいいの？」
「にゃあ、にゃあ、にゃあ」
「それじゃあ、焼き鳥の缶詰を買うね」

　ちゃとらんの要望に応えるため、スーパーに行って、焼き鳥の缶詰を五十個買った。

「美味しい？」
「にゃあ、にゃあ、にゃあ」

　焼き鳥の缶詰が好きな庶民派のちゃとらん。どことなく同じ匂いがする。あたしは益々ちゃとらんが好きになった。

「ねえ、ちゃとらん。あたしが今から言うことを、よく聞いてね」
「にゃあ」

　あたしは猫が好きだけど、飼ったことはない。甘辛い焼き鳥の缶詰ばかり食べさせていると、ちゃとらんの栄養バランスが偏ってしまうと思ったので、栄養バランスの取れたキャットフードも食べるように、ちゃとらんによく言って聞かせた。