笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 旭川から和寒へ。和寒から士別へ。士別から名寄りへ。名寄りから美深へ。

 だんだん宗谷岬が近づいてくる。旅のゴールは目前。嬉しいような、悲しいような。あたしは複雑な気持ちのまま、ちゃとらんと一緒に歩き続けた。

「にゃあ!」

 何かに驚いたのだろうか。何か珍しいものでも見つけたのだろうか。森に囲まれた道を歩いていたとき、あたしの真横を歩いていたちゃとらんが急に大きな声を上げて、勢いよく道路に飛び出していった。

「ちゃとらん! 危ない!」

 キイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ! ドン!
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