笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち!
どの人も笑顔で拍手を送ってくれている。
「にゃあ、にゃあ、にゃあ」
ちゃとらんも前足を合わせて拍手を送ってくれている。
あたしは多くの人に笑顔を与えている。今まで散々路上ライブを行ってきたのに、このとき初めて実感できた。
「観客の皆様、あたしの歌を聴いてくださいまして、どうもありがとうございました」
あたしは顔を隠すように頭を下げて、パーカーの袖で涙を拭いた。
笑顔になるまで顔は上げない。
よしと、あたしも笑顔になったかな。
「もしもし、まなちゃん。あたしの歌、聴こえた?」
「さきさんの歌も拍手の音も聴こえました! ライブの余韻に浸っています!」
「あたしの歌を聴いてくれて、ありがとう」
スマホから、大きな拍手の音が聞こえてくる。ただただ嬉しい。あたしは感極まって、言葉が出なくなってしまった。
「また手紙を送るね。それじゃあ、またね」
「はい。またです」
まなちゃんの声を心に刻み込んで、スマホを切った。あたしには、まだやらなければならないことがある。
「スマホを貸してくださって、どうもありがとうございました」
親切で優しいお姉さんにスマホを返して、リュックサックを置いているところに行き、ココアの缶を握り締めて、岸壁に立った。
もうあたしには必要ない。
「それ――――。遠くまで飛んでゆけ――――」
あたしの歌を聴いてくれた人、ちゃとらんの歌を聴いてくれた人に感謝の気持ちを込めながら、オホーツク海に沈んでいくオレンジ色の夕日に向かって、ココアの缶をおもいっきり投げた。
どの人も笑顔で拍手を送ってくれている。
「にゃあ、にゃあ、にゃあ」
ちゃとらんも前足を合わせて拍手を送ってくれている。
あたしは多くの人に笑顔を与えている。今まで散々路上ライブを行ってきたのに、このとき初めて実感できた。
「観客の皆様、あたしの歌を聴いてくださいまして、どうもありがとうございました」
あたしは顔を隠すように頭を下げて、パーカーの袖で涙を拭いた。
笑顔になるまで顔は上げない。
よしと、あたしも笑顔になったかな。
「もしもし、まなちゃん。あたしの歌、聴こえた?」
「さきさんの歌も拍手の音も聴こえました! ライブの余韻に浸っています!」
「あたしの歌を聴いてくれて、ありがとう」
スマホから、大きな拍手の音が聞こえてくる。ただただ嬉しい。あたしは感極まって、言葉が出なくなってしまった。
「また手紙を送るね。それじゃあ、またね」
「はい。またです」
まなちゃんの声を心に刻み込んで、スマホを切った。あたしには、まだやらなければならないことがある。
「スマホを貸してくださって、どうもありがとうございました」
親切で優しいお姉さんにスマホを返して、リュックサックを置いているところに行き、ココアの缶を握り締めて、岸壁に立った。
もうあたしには必要ない。
「それ――――。遠くまで飛んでゆけ――――」
あたしの歌を聴いてくれた人、ちゃとらんの歌を聴いてくれた人に感謝の気持ちを込めながら、オホーツク海に沈んでいくオレンジ色の夕日に向かって、ココアの缶をおもいっきり投げた。