笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「本当に素敵なラブソングですね。はい、一万円」
愛らしい笑顔であたしのラブソングを褒めてくれたチロリアンハットの女性は、再びココアの缶に一万円札を入れてくれた。
「これで二万円だよ。本当に大丈夫なの?」
なんだか心配になったあたしは、チロリアンハットの女性に聞いてみた。
「私はお金持ちなので、ぜんぜん大丈夫なんですよ」
チロリアンハットの女性は、愛らしい笑顔であたしの質問に答えてくれた。
この子はただ単に純粋なのだろうか。
馬鹿なのだろうか。
常識がないのだろうか。
あたしをからかっているのだろうか。
後で怖い兄ちゃんが出てくるのだろうか。
それとも、何か嫌なことがあって、自棄になっているのだろうか。
失恋でもしたのだろうか。
いったい何を考えて、ココアの缶に一万円札を入れているのだろうか。
あたしにはさっぱりわからない。
「二万円も受け取れないよ。やっぱり返すね」
あたしはチロリアンハットの女性に二万円を差し出した。
「先ほども言いましたように、一度入れたものは受け取れません。私はお金持ちなので、本当に大丈夫なんですよ。遠慮なく受け取ってください」
チロリアンハットの女性は、平然とした顔で言った。
お金持ち。お金持ち。あたしは貧乏人だから、お金持ちの人の気持ちがわからない。
「あなたがお金持ちなのはわかったんだけど、どうしてお金持ちなの? どこかの会社の社長なの?」
「いえいえ、私は社長ではありません。ただの一般市民です。なぜ私がお金持ちかと言いますと、この間、銀行強盗をしたからです」
チロリアンハットの女性は、あたしの質問に真面目な顔で答えた。
「え、マジで?」
あたしは自分の耳を疑った。こんな地味な子が銀行強盗をするなんて……。世も末だと思った。
愛らしい笑顔であたしのラブソングを褒めてくれたチロリアンハットの女性は、再びココアの缶に一万円札を入れてくれた。
「これで二万円だよ。本当に大丈夫なの?」
なんだか心配になったあたしは、チロリアンハットの女性に聞いてみた。
「私はお金持ちなので、ぜんぜん大丈夫なんですよ」
チロリアンハットの女性は、愛らしい笑顔であたしの質問に答えてくれた。
この子はただ単に純粋なのだろうか。
馬鹿なのだろうか。
常識がないのだろうか。
あたしをからかっているのだろうか。
後で怖い兄ちゃんが出てくるのだろうか。
それとも、何か嫌なことがあって、自棄になっているのだろうか。
失恋でもしたのだろうか。
いったい何を考えて、ココアの缶に一万円札を入れているのだろうか。
あたしにはさっぱりわからない。
「二万円も受け取れないよ。やっぱり返すね」
あたしはチロリアンハットの女性に二万円を差し出した。
「先ほども言いましたように、一度入れたものは受け取れません。私はお金持ちなので、本当に大丈夫なんですよ。遠慮なく受け取ってください」
チロリアンハットの女性は、平然とした顔で言った。
お金持ち。お金持ち。あたしは貧乏人だから、お金持ちの人の気持ちがわからない。
「あなたがお金持ちなのはわかったんだけど、どうしてお金持ちなの? どこかの会社の社長なの?」
「いえいえ、私は社長ではありません。ただの一般市民です。なぜ私がお金持ちかと言いますと、この間、銀行強盗をしたからです」
チロリアンハットの女性は、あたしの質問に真面目な顔で答えた。
「え、マジで?」
あたしは自分の耳を疑った。こんな地味な子が銀行強盗をするなんて……。世も末だと思った。