笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「次は、パルコに行きましょう」
「うん。服も揃えないとね」

 あたしとまなちゃんはアウトドアショップから出て、池袋パルコに入った。

 どのお店にも夏物の服がずらりと並べられている。あたしも新しい服が欲しい。

「この服なんかどうですか?」
「いいと思うよ」

 お金持ちのまなちゃんは、服と水着と下着と靴下とタオルをまとめて購入し、貧乏人のあたしは、Tシャツとキャミソールを一枚ずつ買った。

「トイレで着替えてきますね」
「うん。あたしはここで待ってるね」

 まなちゃんがトイレで着替えている間に、あたしはアコギの手入れをした。
 地方に行っても、路上ライブで出来るだけ稼がなければならない。

「じゃじゃーん! 私の服装はどうですか?」
 明るい笑顔でトイレから出てきたまなちゃんの服装は、上が黄色のTシャツ(ちょっとおへそが出ている)。下がデニムのショートパンツ(ちょっとローライズ気味)。昨日の地味な服装とは打って変わって、ちょっとセクシー風。たぶん、あたしの服装を真似たのだと思う。

「まなちゃんによく似合ってると思うよ」
「えへへ。さきさんに褒められて嬉しいです。歯ブラシなどの日用品は、百円ショップ買いますね」
 
 あたしとまなちゃんはパルコから出て、池袋駅近くの百円ショップに入った。

 まなちゃんは歯ブラシなどの日用品をまとめて購入し、あたしはバンダナを一枚買った。
< 49 / 258 >

この作品をシェア

pagetop