笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
「これで旅の準備はOKです。これからどこへ行くんですか?」
「行き先は決めていないんだ。まなちゃんは、どこか行ってみたいところはあるの?」
「私は、日本海に行ってみたいです」
「日本海かあ。ここから歩いて行ったらすごく遠いよ。どうして日本海に行きたいの?」
「心を鍛え直すために、日本海の荒波に揉まれてみたいんです。それに、遠ければ遠いほど、さきさんと一緒にいられる時間が長くなりますからね」
「そっかあ。ちゃんとした目的があるんだね。それじゃあ、日本海に行こうか」
「はい! 日本海に行きましょう!」
まなちゃんが嬉しそうな顔で言った。
あたしは何の目的もなく旅に出たけど、まなちゃんにはしっかりとした目的がある。
あたしも日本海の荒波に揉まれて、心を鍛え直さなければならない。
池袋から日本海までの距離は……。何キロなのか全くわからない。歩いて行ったら何日掛かるのかもわからない。とにかく遠いことだけは確か。たぶん、途中で道に迷ってしまうと思う。迷ったら迷ったで、それはそれで楽しいと思う。
「会社に電話したの?」
「さきさんが起きる前に電話したので大丈夫です」
「そうだったんだ。何日くらい休めるのかな?」
「三ヶ月くらいなら、余裕で休めます」
「そんなに休んでも大丈夫なの?」
「ぜんぜん大丈夫です。さきさんは、携帯電話を持っていないんですよね?」
「うん。持ってないよ」
「それでは、私もスマホは使わないようにします。電源を切っておきますね」
まなちゃんはデニムのショートパンツのポケットからスマホを取り出して、あたしの前で電源を切った。
地図もスマホも見ないで、無事に日本海にたどり着けるのか、ちょっと不安だけど、歩き続けて行けば、いつか日本海にたどり着けると思う。
「行き先は決めていないんだ。まなちゃんは、どこか行ってみたいところはあるの?」
「私は、日本海に行ってみたいです」
「日本海かあ。ここから歩いて行ったらすごく遠いよ。どうして日本海に行きたいの?」
「心を鍛え直すために、日本海の荒波に揉まれてみたいんです。それに、遠ければ遠いほど、さきさんと一緒にいられる時間が長くなりますからね」
「そっかあ。ちゃんとした目的があるんだね。それじゃあ、日本海に行こうか」
「はい! 日本海に行きましょう!」
まなちゃんが嬉しそうな顔で言った。
あたしは何の目的もなく旅に出たけど、まなちゃんにはしっかりとした目的がある。
あたしも日本海の荒波に揉まれて、心を鍛え直さなければならない。
池袋から日本海までの距離は……。何キロなのか全くわからない。歩いて行ったら何日掛かるのかもわからない。とにかく遠いことだけは確か。たぶん、途中で道に迷ってしまうと思う。迷ったら迷ったで、それはそれで楽しいと思う。
「会社に電話したの?」
「さきさんが起きる前に電話したので大丈夫です」
「そうだったんだ。何日くらい休めるのかな?」
「三ヶ月くらいなら、余裕で休めます」
「そんなに休んでも大丈夫なの?」
「ぜんぜん大丈夫です。さきさんは、携帯電話を持っていないんですよね?」
「うん。持ってないよ」
「それでは、私もスマホは使わないようにします。電源を切っておきますね」
まなちゃんはデニムのショートパンツのポケットからスマホを取り出して、あたしの前で電源を切った。
地図もスマホも見ないで、無事に日本海にたどり着けるのか、ちょっと不安だけど、歩き続けて行けば、いつか日本海にたどり着けると思う。