笑顔と猫とどんぶらこ~フーテンさきの歌紀行~
 親切なおばさんに教えてもらった道を、まなちゃんと肩を並べて歩いていき、荒川を渡って埼玉県に入った。

 神奈川県、東京都、埼玉県。これであたしは三都県目。



 荒川の土手に座って、まなちゃんと話し合い、今日は大宮まで足を伸ばそうということになった。

 所々で道を尋ねながら歩いていき、公園のベンチに座って休憩したり、コンビニで休憩したり、こまめに休憩を挟みながら歩き続けて、夜になって、ようやく大宮駅前の広場に着いた。

「どっこらしょっと」
 あたしはテンガロンハットを脱いで、植木の囲いの石に腰を下ろした。

「どうもお疲れ様でした」
 さわやかな笑顔であたしに声を掛けてくれたまなちゃんは、座らずに立ったまま。

 あたしは旅に出てから今日で八日。まなちゃんはまだ初日。

 あたしとまなちゃんの疲労度は違うと思うけど、元気な様子のまなちゃんを間近で見ていると、どうしても、歳を感じてしまう。

 どっこらしょっと。と無意識で言うようになったら、もうおばちゃんなのかもしれない。とあたしは思った。
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